スクールパートナー研修会に出席しました。
日曜日は午後から「2021 東浦町SP(スクールパートナー)研修会」に出席しました。片葩小学校で学生ボランティア(スクールパートナー)のしくみを創り、東浦町の小中学校に広めた元校長で、現在はSPコーディネーターの中村浩二先生が講師です。聴講者は、東浦町のスクールパートナーに関わっている学生の皆さんです。
東浦町の学生ボランティア(スクールパートナー)は、SP研修会やSP通信など、学生が情報を交換し力量を向上させる仕掛けを備えています。東浦町ではコロナ禍にあっても、感染症に配慮しながら、スクールパートナーの受け入れを続けています。
冒頭にあいさつの機会をいただいたので、私は、十数年前に当時、生路小学校の校長だった中村先生から学校の補充授業等に教職を目指す学生ボランティアを募るアイディアを聞いて期待したこと、それが片葩小学校で実現したこと、そして今は町内の全小中学校でスクールパートナーのしくみが、子どもと保護者に良し、学校に良し、学生に良し、さらにSPを卒業した教職者にも良しの「win×4」の形で定着することを期待していること、などを話しました。
今回の中村先生の講演のテーマは「今求められている『主体的な学び』を、どう創り出していけばいいのか? ~鍵は、授業の『中心的な学習場面』にあり~」でした。
近年、「主体的な学び」で「答えのない問題」に取り組む授業が行われていますが、子どもたちが意見を言いっぱなしで、はたして思索が深まっただろうか?こんなときに教師は授業をどう締めくくるのか?と疑問に感じることがあります。たしかに、子どもたちの意見を最後にどうまとめるか以前に、「中心的な学習場面」をどう設定するかがポイントになりそうな気がします。
講演の要旨は以下の通りです。
2020年度の小学校学習指導要領改訂と2021年の中学校学習指導要領改訂の最大のねらいは、「主体的・対話的で深い学びの創造」だ。しかし、「主体的な学び」のある授業ができていない。それはコロナ禍のせいではなくて、教師の意識改革ができていないためだ。従来の「教え込む授業」から「主体的に学ぶ授業」に変革しないと、子どもたちの「思考力・判断力・表現力」は育たない。
新学習指導要領で、評価の観点は、従来の4観点(知識・理解、技能、関心・意欲・態度、思考・判断・表現)から3観点(知識及び技能、思考力・判断力・表現力、主体的に学習に取り組む態度)に変わり、「思考力・判断力・表現力」と「主体的に学習に取り組む態度」の育成を重視するようになった。従来の「関心・意欲・態度」は挙手の回数やノートの取り方など形式的な場面で評価していたため、これを払拭し、知識及び技能と思考力・判断力・表現力を身に付けることに向けた粘り強い取り組みと自ら学習を調整しようとする側面を評価するために「主体的に学習に取り組む態度」と改められた。したがって、授業の中に「主体的な学び」がなければ「主体的に学習に取り組む態度」の評価はできない。「主体的に学習に取り組む態度」は教師が育てる力だ。
では、「主体的な学び」のある授業をどうやって創るか? 教える内容を順番に並べるだけではダメで、「中心的な学習場面」でどんな学びをするかを考えなければならない。これは、導入時の「学習の意欲化」よりも大事だ。算数と道徳を例にとって、子どもが自力解決する場面や考えていこうとする態度を育てる部分を「中心的な学習場面」として捉えてみよう。限られた時間内で重要でない部分を省き、核心に迫らなくてはならない。また、算数や数学の場合、練習問題をその時間内に行うことが鉄則だ。
子どもたちの「主体的な学び」を教師が阻んでいることもある。子どもの事情を無視して教師の都合だけで授業を進めてはならない。チャイムが鳴ったら子どもは集中できない。時間オーバーはいけない。挙手して発言させるばかりが「表現」ではない。授業中に静かであることがそんなに大切だろうか。むしろ子どもの「つぶやき」が大切。子どもは必要と思えば、ちゃんと話を聞いている。教師のしゃべりすぎも要注意。教師のしゃべる時間を減らすと、子どもは自分で学ぶようになるのではないだろうか。
「伝える力」は「伝わる力」だ。どんな伝え方をしても、相手に伝わらなければ意味がない。信頼がないと伝わらない。その信頼を日々築き上げ、相手に伝わっているかを感じながら仕事をしていきたいものだ。
この後、学生同士の情報交換会として、「SPが求めるもの、SPに求められるもの」というテーマでグループ討議と全体討議がありました。
「SPでリアルな現場を知ることができる。」「1対1で子どもと関われる。」「学生は子どもにとって気軽に話せる存在だ。」「信頼関係がないのに叱っても効果がない。叱ったことでどう変わったかを見届ける必要がある。」「どんどん失敗すればよい。」「SPの時の資料を後で見返して、あの時言っていたことはこういうことだったのかという気づきがあったりする。」などの意見が活発に出ていました。
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