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2022/02/18

「かかみがはら暮らし委員会」の活動から、ゆるくつながるコミュニティの作り方を考える

夜、武豊町のゆめたろうプラザで開催された文化のまちづくりセミナー「ゆるくつながる.コミュニティの作り方」を聴いてきました。講師は岐阜県各務原市在住で地域コミュニティ「一般社団法人かかみがはら暮らし委員会」委員長のオゼキカナコさん。セミナーはオゼキさんの講演と、オゼキさんと日本福祉大学地域連携アドバイザーで半田市観光協会観光ディレクターの池脇啓太さんのトークセッションの2部仕立てでした。

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これまでコミュニティというと、地縁だったり、特定の活動分野だったり、タテ串・ヨコ串みたいなイメージに囚われがちでした。かかみがはら暮らし委員会は別に活動の目的分野が決まっているわけではないようです。ただ皆で楽しいことをしようというだけで、有志が集まり、やりたいからやっている。本当は、何かを考え動いてみたい若い人たちはたくさんいるのだけれど、行政には見えていないだけかもしれません。
それから、「楽しい」の重要な要素として、デザインマインドが必要だと痛感します。イベントやトークや商品についてもリアルで、ネットで、洗練された情報発信をしています。
組織運営では、決める人と従う人を固定化しないこと。これを固定化すると、しんどくなって長続きしません。自然にメンバーが入れ替わって新陳代謝できる集まりでありたいところです。
やりたいからやる市民プレイヤーのアイディアと行動力、そして、その自由な発想に対して、邪魔をしないでちょっと背中を押す行政の組み合わせが大事ではないかと改めて思います。

東浦に「かかみがはら暮らし委員会」のようなコミュニティはありませんが、各務原の「マーケット日和」に似た“やりたい有志がやっている”イベントとしては「おだい市東浦セミナー」が、自由な発想で運営しているカフェとしては「地域の縁側 グリーン・ラソ」があるのではと思います。

 
以下は、オゼキさんの講演を私なりに聴き取ったメモです。たぶん私の意訳も入っているので、時間のある方はNPO武豊が公開しているセミナー動画の視聴をおすすめします。

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自分は、各務原の街で雑貨のセレクトショップをやっていた。いまは、ショップアドバイザーとして、店づくりのコンサルを本業にしている。2016年に一般社団法人かかみがはら暮らし委員会をつくった。現在、会員約80人、入会は招待制で、会費は月500円。みんな、やりたいからやっている。やっていることは、会員同士のコミュニティの運営、カフェ、イベントの運営。具体的には、公園内にある「かかみがはらスタンド」でカフェをやりながら文化発信をしている。パークPFIで運営されているParkbridgeの運営の一部も行っている。市のイベントである「マーケット日和」には、企画ボランティアとして関わっている。「よりあい」といって毎月誰でも参加できる交流会をしている。それから、趣味の合う会員同士で、写真部やボードゲーム部などの部活動もしている。ネットで情報発信をして、緩やかに自分たちのコミュニティ以外ともつながっている。

きっかけは、行政とボランティアで始まった「マーケット日和」。3年目くらいにボランティアメンバーの中の(雑貨店、会社員、美容院、飲食店、デザイン会社をやっている)男女5人(たまたま全員各務原市民)が、毎年1回のおまつりのためだけに活動するのか?小さいイベントをもっと作れないのか?という疑問を持った。ちょうど、公園内のカフェスペースの経営者を募集するプロポーザルがあった。慌てて法人をつくって当時はまだ馴染みの薄かったクラウドファンディングで資金集めをした。そして今かかみがはらスタンドの運営をしている。それぞれ仕事があってかかりっきりにはなれないので、社員(事務局員)を一人雇った。この若者が毎月の寄り合いなどの取り回しをして、対話の場所をつくってくれている。

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3年前に「暮らし委員制度」を採用して、まちづくり活動からコミュニティへの転換をした。しかし、数人の理事メンバーが意思決定をして、集まった仲間たちが手伝いをする構図を続けていると、みんなだんだん疲弊してくる。リーダーは疲れるし、手伝いだけではやり甲斐に欠ける。そこで、みんなでコミュニティのリーダーを決めることにした。1年半前に理事を解散して、Zoomでコミュニティ選挙をしてリーダーを決めるフラットな組織にした。かかみがはら暮らし委員会のビジョンとして、①目指すところは「まちを楽しむ人たちのコミュニティ」、②何をするか?は「楽しみを見つけ『やりたい』を実現する場をつくる」とした。そして、①主体性(楽しいこと、やりたいことをやってみよう)、②透明性(情報共有し、助け合える場をつくろう)、③多様性(思いやりを持ち、受け入れよう)を大切にしている。これらのビジョンや大切にすることを入会時に伝えて、場違いな人には入ってもらわないようにしている。会議はfacebookライブ配信にして透明性を持たせた。今はSlackのチャンネルを使ってオンラインのコミュニケーションをとっている。
ホームページは、作りたいメンバーがつくった。仲間の一人一人を大切にする意味を込めてメンバー図鑑をアップしている。年に1回の委員長選挙で、最長2年まで委員長をやれる。年齢の上下関係もなくフラットな人間関係になっている。会員の年齢の中心値は35歳くらい。何かをやってみたい若い人は互いに知らないだけでたくさんいるはず。たとえば、自分のやっていた雑貨屋のお客さんやその仲間でも良い。人が人を呼ぶ。地元の高校で地域の活動について授業をしたのがきっかけで、高校生がメンバーに入った例もある。

Dsc009511200tnnnnn マーケット日和は、250店、3万人の集客があるイベント。ほとんどが市外からの出店。市内だけの店では魅力に限界がある。マーケット日和は、市のいきいき学習課という生涯学習を所管する部署が担当しているが、一つの課だけでなく多くの部署が関わっている。行政も暮らし委員会のメンバーも、良いものをつくろうと目指すところは同じ。フラットな関係をつくることが大事。継続性を考えると、行政の職員には異動があるが、市民には異動がない。マーケット日和では行政と何の契約もなく、ボランティアとしての関与なのでしがらみはない。カフェは行政に家賃を払っているだけで、運営は自由にやっている。
コロナ禍でマーケット日和は、2020年はオンライン開催とした。2021年は20店舗に絞り飲食なしにした。代わりに、地域の飲食店を取材し、マップや特別メニューをつくって、地域のお店を訪ね歩いてもらうことにした。イベントやトークや商品についての洗練された情報発信をしている。

自分は、本当は一人で何かしたいタイプ。やりたいからやる人生。結果的に周りも笑顔になれば嬉しい。でも、コミュニティの意義は、人と関わることで自分だけではできないことができること。歳をとると人と人との緩い関係が欲しくなる。何か言える人が誰でも必要だ。
コロナで、IT化が進んだ。Slackの書き込みはオープンにしていて会員以外の人も反応してくれる。70代から10代までのいろんなメンバーを優しく包み込む仕組みでありたい。
5人だけでは辛い。理事5人で決めたことをみんなで手伝う組織運営を変えた。そうすれば5人以上の知恵で運営できる。誰でもあとから入れる。いやなら離れれば良い。長く同じ立場にいると、疲弊するし凝り固まる。疲弊した組織を活性化するには、今まで待ったものを1回手放す勇気が必要だ。

他所のまちで「出張寄り合い」もやっている。今度3月に武豊町でも開催する。自分のまちで何かしたかったら、是非ご相談ください。

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