連絡所長会の研修で、安曇野市を訪れました。
東浦町では、およそ旧村から成り立つ6つの地区の人口は約5千~1万人で、地区の区長さんは住民代表、コミュニティ会長、コミュニティセンター長、行政の連絡所長の4つの役を兼ねています。実際には、6つの区の区長さんと1つの県営団地自治会の自治会長さんに行政の広報等を地域住民に配布する連絡所長をお願いしており、地域で日々生ずる課題への対応もお願いしています。これらの地縁組織はまたコミュニティ活動の担い手にもなっています。
地域社会の抱える課題やこれから訪れる超高齢化社会を乗り越えていくには、みんなで支え合える顔の見える地域社会の構築が欠かせません。従来、地区コミュニティではもっぱら地域の親睦や交流に重点を置いた活動をしてきましたが、今後は、地域の課題を解決していく活動へのシフトが必要となってきています。
11月27日・28日は、連絡所長会の研修として、他の地方の地縁組織と行政のあり方や協働の取り組み方を参考にするため、連絡所長さん7人と協働推進課長と私で、長野県安曇野市を訪ねました。
安曇野市は、平成17年に豊科町、穂高町、明科町、堀金村、三郷村の5町村が合併して生まれました。人口は10万人弱、面積は東浦の10倍ほどの332㎢、農業や観光が盛んなイメージが強いですが、電子産業などの工場もあり7000億円以上の製造品出荷額(県内1位)を誇っています。景観保全にも気を配っていて、屋外広告物規制を設けており、広域農道沿いのコンビニの看板も丈が低くしてありました。
市内には83の大小さまざまな区(人口数百~数千人程度)があります。公共施設としての公民館は、中央公民館と5つの各地域(旧町村)公民館があります。その他に、それぞれの地区が設置運営する99の地区公民館でオリジナルの社会教育活動をしています。さすが社会教育が伝統的に盛んな長野県だけあります。多くの区は法人化されていて、区民から年間数千円~2万円弱程度の区費を集めて運営しています。組織として、高齢化や加入率の低下が課題となっているようです。
安曇野市ではこれらの区を合併前の旧町村単位にまとめてそこに地域区長会長を置き、5人の地域区長会長が集まってほぼ毎月、区長会理事会と正副会長会議を開いています。行政からの区への支援としては、世帯割と均等割からなる区等交付金、ごみ収集や減量への補助金、自主防災組織防災活動支援補助金、地区公民館や集会所の新設・改築などへの補助金のほか、地区や市民活動の立ち上げや活動支援のための“地域力向上事業交付金”と“つながりひろがる地域づくり事業補助金”などの資金的支援があります。その他支援の一環として、市民協働事業提案制度や、中学生議会の開催、まちづくり出前講座、まちづくりフォーラムの開催、信州大学との連携協定などがあります。
安曇野市の資料を見ると、協働の考え方や区の定義、区長会の目指すもの、行政の支援の内容などが、わかりやすく整理されており、整理・記述の大切さを再認識させられました。安曇野市では、市民、議会及び行政の役割や責務を明確化し、三者の関係や市民相互の関係などルールを決める「住民自治」を目指し、市の最高規範である「安曇野市自治基本条例」の制定に取り組んでいるところです。
一日目は、宮澤市長をはじめ行政担当の方から説明をいただき、二日目は市川区長会長をはじめ5人の地域区長会長さんと東浦のメンバーとの間で忌憚のない意見交換をさせていただきました。時間ギリギリまで丁寧に対応をいただき本当に感謝しています。
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